TV「みんなの健康〜歯の健康」放送概要

第7回 H14.2.17 要介護高齢者のお口のケア
Q. みなさん、こんにちは。歯は大切にされているでしょうか。
今日は青森市歯科医師会の小田嶋亮先生に要介護高齢者のお口のケアについてお話を伺います。要介護高齢者のお口のケアと普段私達が行っている口腔ケアとではどのような違いがあるのですか。
A. 口の中を清潔にするという点では同じですが、年齢に伴いどうしても筋力や機能が低下するために、それに応じたリハビリテーションが必要となってきます。
Q. お口の筋力や機能が低下すると具体的にはどのようになりますか。
A. 例えば、食事中にむせや食べこぼしなどを起こし易くなります。また、誤嚥も生じやすくなりますから誤嚥性肺炎という恐い病気にも罹りやすくなります。
Q. 誤嚥性肺炎というのはどの様な病気ですか。
A. 口の中には様々な細菌が住んでいて、それが食べ物や唾液、胃内容物と共に誤嚥される事、つまり胃ではなくて肺に入ってしまうことによって起こる肺炎を誤嚥性肺炎といいます。そして高齢者の方に起こる肺炎はこの誤嚥性肺炎が最も多いと考えられており、一旦発症すると治りづらく予後不良となる事が多いのです。65歳以上の高齢者の約30%が肺炎で死亡していると言われています。この誤嚥性肺炎も口腔ケアで予防できます。
Q. 誤嚥性肺炎の予防として、口腔ケアの他に何か注意する点はありますか。
A.
誤嚥性肺炎は、いったん胃に入った物が逆流して肺に入り生じる事がありますので食後なるべく1時間から2時間位は座位を保たせて下さい。もし座位のとれない方は30度以上のリクライニングにして下さい。
Q. それでは具体的に口腔ケアの仕方について伺いたいのですが、まずお口のリハビリテーションについて教えて頂けますか。
A. いろいろありますが、まず代表的な嚥下体操からやってみましょう。例えば、健康な人でもこれから100mダッシュをして下さいと言われたらまず準備運動から始めると思います。それと同じ事が高齢者,特に寝たきりになってあまり体を動かす事の出来ない人の食事にも言えるのです。食事の前に準備運動をする事によってお口の緊張が取れ、そして嚥下に対する心構えができます。それによって嚥下がスムースに行われると言う訳です。それでは早速行ってみましょう。
Q. お口の周りの筋肉をほぐす訳ですね。
A. まずは気持ちを落ち着かせて集中できるように深呼吸から始めます。手をお腹に当ててお腹が膨らむように息を吸い込んでください。今度はお腹が引っ込む様に口からゆっくり吐き出しましょう。この吐き出す時、口を少しすぼめて20〜30cm前にあるロウソクの火を消すように行ってください。これにより肺の機能を強め、また食べ物が鼻に逆流する事を防ぎます。次は肩と首をリラックスさせる運動です。肩や首の筋肉をほぐす事によって、むせや咳き込みを軽減し喉越しを良くさせます。深呼吸をしながら首をゆっくり左右に傾けます。次ぎは横を向きます。そして大きく回してみましょう。続いて肩の運動です。両肩をすぼめる様にしてからスッと力を抜きます。力を抜く時には溜息をつくようにするとリラックスできると思います。次はお口の周りの運動です。口の周りの筋肉を伸ばしたり縮めたりする事によって食べ物を取り込み易くして、そして食べこぼしを防ぐ事ができます。まずは口を閉じたまま膨らませたりすぼませたりします。これを2〜3回行います。次ぎに、お口を大きく開けて舌を出したり引っ込めたりします。これも2〜3回行います。続いて舌で左右の口角、つまり唇の両端の所を触るようにします。これも2〜3回行って下さい。続いて発音です。まずはパッ、パッ、パッと声に出してみましょう。これは唇を閉じる運動です。よだれや食べこぼしのある方に有効です。次ぎはタ、タ、タ と声に出します。これは舌の中央部を動かす運動になります。続いてカ、カ、カ と声に出します。これは舌の根元を動かす運動です。最後にラ、ラ、ラ と声に出してみましょう。これは舌の先を動かす運動になります。
Q. 発音する言葉によって使う舌の部分がちがうのですね。
A. そうですね。それでは最後にもう一度深呼吸をしましょう。以上の事を食事の前に必ず行って下さい。
Q. 今度は口腔清掃についてお聞きしたいのですが、介護する側にとってお口の清掃というのは本当に大変な仕事になりますが、何かよい方法はありますか。
A. 確かに口の中を全てきれいにすると言う事は大変な事だと思います。ですから次の2箇所をきれいにしてもらえれば良いと思います。これだけで誤嚥性肺炎の発症率をグ−ンと下げる事ができます。一つは上顎の口蓋、もう一つは舌です。何故かと言うと、皆さんあまりお気付きにならないと思うのですが私達が話をする時に、上顎の口蓋の部分を舌がすりあげるようにして表面の粘膜を張り替えているのです。だいたいお口の中の粘膜は約1週間で1回、表面が張り替わっているのです。ところが、寝たきりになってしまい人とあまり会話をしないようになると舌が上顎を擦り上げるような事をあまりしなくなってしまうのです。そこに誤嚥性肺炎の主な原因となるグラム陰性の嫌気桿菌、いわゆる酸素のない所でも増殖してしまう菌が上顎に層のように繁殖してしまうのです。そして、これが剥がれて誤嚥される事によって誤嚥性肺炎が起きる事があるのです。では、どの様にして磨くのかと言いますと市販のスポンジブラシ、もしくは割り箸に綿をはさめて丸めたような物に水を付けて軽く搾ってお使いになれば良いと思います。また水の代りに緑茶を使いますと緑茶に含まれているカテキンの殺菌作用でより効率良く磨く事が出来ます。
磨き方はこの矢印の様に、奥から前に奥から前にと磨きましょう。けっして奥の方に押し込むような磨き方はしないで下さい。そして舌ですが、舌ブラシという物がありますので、これを使うとより効率良く清掃ができます。
そして舌を清掃する事には、口臭減少効果もあります。水によるうがいや歯磨きによるものよりも約5倍もの効果があると言われていますので、口臭が気になる方は舌のお掃除をしてみてはいかがでしょうか。そしてあとはプロのケアを有効に利用して下さい。プロのケアというのは歯科医師や歯科衛生士が行うケアの事ですが、これを週に1回程行う事で口腔内ケアはほとんどカバーできると思われます。
Q. プロのケアはどうしたら受けられるのでしょうか
A. 青森市では65歳以上で在宅の要介護高齢者の方へ歯科健康診査を無料で行っています。この制度を有効に利用して、寝たきりになってしまった方の「QOLの向上」にお役立て下さい。そして、プロのケアを続けて行いたい方は介護保険で、また治療も兼ねて行いたい方は医療保険で対応しております。お口は外に開いた臓器です。ですから、お口のリハビリや清掃は命を守る防波堤となる事を忘れないで下さい。
  在宅要介護高齢者の歯科健康診査の御申し込み先
  1. 青森市健康増進センター(元気プラザ)電話017-743-6111
  2. 青森市保健福祉部(しあわせ相談室)電話017-734-1111(内)5121・5122
  3. 青森市歯科医師会  電話017-734-5695