- Q.『嚥下障害』って何ですか?
- A.水や食べ物を上手に(スムーズに)飲みこめなくなる状態のことです。
この場合、水や食べ物・だ液などが食道ではなく誤って肺の方へ入ってしまう場合もあります。
- Q.『嚥下障害』が疑われるのは、どういう時ですか?
- A.『嚥下障害』の症状として次のようなものがあげられます。
・よくむせてなかなか食べられない
・飲み込むとき上を向いて行う
・食べるとすぐに咳が出て、肺炎を起こしやすい
・食べ物がのどをなかなか通過してくれない
(その他)
・食後に呼吸が苦しくなる
・食べると疲れる
・食べるとガラガラ声になる
・食べたものを戻してしまう
・のどに食べたものが残ってしまう
なども、重要なサインです。
- Q.『誤嚥性肺炎』って何ですか?
- A.食べ物やだ液などが誤って肺の方に入ってしまうこと(誤嚥)が原因で起こる肺炎を『誤嚥性肺炎』といいます。
日本人の死亡原因の第3位は「肺炎」であり、現在も増え続けています。
また、要介護高齢者の直接的な死亡原因のトップは「肺炎」で全体の約1/3を占め、そのほとんどが『誤嚥性肺炎』と言われています。
誤嚥性肺炎になる原因として以下の3つの状態が挙げられます。
①お口の中の細菌数の増加(お口の中が汚れた状態)
②咳(せき)をする力の低下(誤って気管へ入ってもうまく吐き出せない)
③全身免疫の低下(全身的な疾患のある方、寝たきりの方等)
- Q.飲み込みの悪い人に薬を上手に飲ませる方法はありませんか?
- A.甘いフルーツゼリーなどに、粉にした薬を混ぜて飲ませる方法がよく使われます。
また、小さい薬のときは錠剤をゼラチンゼリーの中に埋めて一緒に飲んでもらう方法も良いでしょう。
- Q.食事中に口からボロボロこぼしてしまいます。どうすればよいですか?
- A.口唇の閉鎖機能に障害があると思われます。
口唇の閉鎖機能を高める訓練としては、
①手による口唇・舌のマッサージ
②寒冷刺激器を用いた皮膚のマッサージ
③唇の体操④パパパ、タタタ、カカカ、ラララの発音練習などを行います。
実際の食事では『30度仰臥位頚部前屈』の体勢をとらせ、食事に意識を集中させ、スプーンを小さめにし、一口量を少なくするなどの工夫をして行いましょう。
- Q.口を開けてくれない患者さんにはどうしたらよいでしょうか?
- A.まず開口障害が無いことを確認しなければなりません。なかなか難しい問題なのですが、あくびをする時の様子を観察すると見当がつきます。
長く接していると、ほとんどの患者さんであくびをする場面を目撃することが出来ます。
①あくびのときは開口するのにそれ以外のときは口を開いてくれないのか
②あくびのときも開口しないのか
をよく観察してください。
②であれば開口障害があり、顎関節や筋肉などに問題がある可能性がありますので、口腔外科や神経内科などの専門の先生に診察をお願いして、対応を考えなければなりません。
もし①あくびの時は充分に開口するのに、その他の時は開口しないということであれば、舌圧子を左右どちらかの奥歯の間に滑らせるように入れて、臼後三角最後部内側の点のあたりを軽く刺激してみてください。(★Kポイント)ここは開口反射を起こすポイントで、うまく刺激すると開口反射が誘発されて口が開きます。
口腔ケアも楽になるとともに、摂食訓練も可能となります。
面白いことにKポイントを刺激した後は開口するだけでなく、もぐもぐゴクンと口腔期から咽頭期の嚥下までが引き続いて起こります。
- Q.口の中が汚い人は嚥下障害と関係がありますか?
- A.口の中が汚れているからといって、嚥下障害があると直接的には言えません。
しかし、嚥下障害があると口の中が汚れやすいということは確かです。嚥下障害があると口腔や咽頭に食物が飲み込めずに残ります。
これが口腔を汚くする原因の一つです。
また、嚥下障害があると唾液がうまく飲み込めなかったり、唾液の分泌が低下して口腔内を汚染する原因になることもあります。
さらに、口腔内の知覚が低下していて、汚れていても不快に感じなくなることも原因になると思います。
全身状態が悪いと、口腔内を清潔に保つ機構に破綻が生じて口腔内も汚れやすく、歯の病気も起こりやすくなります。